「それは感じてた。期待されてないなって。でも、私をただのマネージャーとして扱ってくれた男子の方が、居心地がいいときもあったよ。舞はどうしても、私を特別扱いしがちだったから」
持ち上げられるのはたしかにいい気分になれる。
けれど、いつかは誰もそんな風に扱ってくれなくなるかもしれないと考えたら、不安はいつまでも消えなかった。
「でもね、やっぱり、最初から私を必要だって言ってくれたことが嬉しいから。だから大会までのあと少しの時間を、舞たちのために全部使いたいって思った。それも、さっきのことの理由なの」
「うん、そっか」
そう言うと、ちゃんと納得してくれた。
「それを聞いたからってわけじゃないんだけど、俺たちの中にも、亜美ちゃんを必要だって思ってるやつ、たくさんいるんだよ」
気休めでも慰めでもいい。
その言葉が嬉しかった。
けれど、そのどちらでもなかったのだ。
「俺がさっき言おうとしてたことなんだけど。昨日、あの後・・・・」
桜井くんから聞かされたのは、私が逃げ出してからの一部始終だった。


