「うん。最初はさ、技術が亜美ちゃんの価値だと思ってたんだ。まさかあの皇ヶ丘学園なんて、って。正直、マネージャーになってくれればそれは誰でもよかったんだ。経験者ならいろいろわかるだろうしラッキーってくらいで」
私でなくてもよかった。
簡潔に言えばそういうことだろう。
けれど腹は立たなかった。
「練習試合や大会に行っても、ほとんどの学校のマネージャーはバスケわかりませんって感じで試合そっちのけで喋ってたりとか。ルールもよく知らないで適当にオフィシャルやって、案の定ミスして試合が止まったこともあった。
だから、亜美ちゃんがそういう人間だと思ってたわけじゃないけど、期待はそんなにしてなかった。舞は違ったみたいだけど」
舞は、最初から私を買いかぶりすぎだというほどに信じ、そして疑わなかった。
私と自分の意見が対立しても、すぐに私の意見を優先させようとした。
私の存在と意見は絶対的なものではないからと、何度も舞に言って、ようやくわかってもらったのだ。


