夢みる蝶は遊飛する


「ごめんね。本当に、最後に迷惑かけて。当日は、ちゃんと準備やスコアもやるから」

「うん。一緒に、ちゃんと引退しよう」


その言葉が胸にしみた。

そう言ってくれた彼の言葉に報いるためにも、私はあるものを差し出した。


「最後は、これ」


それは二冊のノート。

私がマネージャーになってから、ずっと書きつづけていたものだ。

スコアシートなどのいろいろなものが貼りつけてあるために分厚くなっている。


「これは・・・・?」

「なにかの役に立つといいんだけど」


このノートは、彼らには見せるつもりはなかった。

自己満足で終わらせるつもりだった。

意見を求められたときだけ、その中から本当に必要な事項だけを抜粋して伝えていたのだ。

ページを繰る彼の指はどんどん速くなる。


「身長、利き手から、シュート率まで割り出して・・・・」


その声は驚嘆へと変わっていった。