「うん、わかった。ごめんね、ちょっと行ってくる」
前半は彼に、後半は沙世たちに向けて言い、私は教室を出た。
彼の背は当然ながら、私を待っていてはくれなかった。
調子の良いことを考えた自分の浅ましさに、嘲笑がこぼれた。
会議室に着くと、そこには男子部員の半分以上がすでに集まっていた。
皆が暗い顔をしている理由は、昨日のことだろう。
神妙な面持ちで、なにかを囁き合っている。
昨日怪我をした稲垣くんは、スタメンだった。
大会でも当然、チームの中心として戦力になるはずだったのだ。
ポジションは須賀くんと同じ、フォワード。
彼が抜けた穴は、そう簡単に埋められるものではない。
数日でどうにかできるものではないのだ。
皆、それがわかっているから不安なのだろう。


