夢みる蝶は遊飛する


体育館に戻り、その氷を氷嚢に入れかえる。

それをテーピングを使って足首に巻き、さらに包帯で固定する。


「足を上げて」


寝転ばせ、心臓よりも足を高い位置にして、安静にさせる。

これで今できる処置は終わった。


そこで、顧問の山田先生がやってきた。


「どうしたのか説明してもらってもいい?」


それはいつもの間延びしたような話し方ではなかった。


「練習中に足を捻ったみたいです。もしかしたら靭帯も損傷してるかもしれません」


部員たちから少し離れて、小声でそう伝える。


あの腫れ具合と痛がり方からして、ほぼ間違いないだろう。

きっとそのうちに、内出血もあらわれてくる。