二週間後にある大会に向けて、最近は部内の雰囲気が変わってきた。
3年生にとっては、これが最後の大会になるのだから。
負けたらそこで引退しなければならない。
後輩たちに部を託すのだ。
部活に力を入れていて、かつ進学もあまり考えなくてよい学校は、秋の大会まで3年生が仕切っていることもある。
皇ヶ丘学園もそうだ。
バスケ部の部員は、希望をすれば皇ヶ丘学園大学への優先入学枠がもらえるため、受験勉強などはしなくてもいい。
バスケだけに集中できる環境に整えられているのだ。
私も本当なら、その中で一緒に走っていたのだろうか。
夢を追いかけて。
仲間と一緒に。
けれど今ここに、こうして存在していること。
それが現実なのだから。
両親がいて、なんの障害もなく順調に歩いている自分の姿を想像することは、もうできなかった。


