「それで、どういうこと?」
沙世の眉をひそめさせているのは、憤りだとか不快感ではなくて、単純な疑問のようだ。
私は目だけで、ヒロくんに説明をするように言った。
「だから、亜美ちゃんには、俺の計画の共犯になってもらってたってわけ」
彼は私に言ったのだ。
「沙世との関係を、今年こそは変えたいから、手を貸してくださいってね」
常にない真面目な様子で言われたものだから、最初は驚いた。
その言葉を疑うことは少しもしなかったけれど。
「・・・・いつ?」
言っていいものかと思いつつも、ためらいながら答えた。
「沙世が私に同じことを言う、何日も前に」
沙世が私に協力を頼んだことをヒロくんが知ってしまってもいいのかと思ったけれど、ヒロくんはまるで知っていたかのように軽く頷いて聞き流していた。


