夢みる蝶は遊飛する


「きょう、はん、しゃ・・・・?」


その呟きに、頷いた。


「共犯者っていう言い方は、良く聞こえないと思うけどね」



私は沙世の協力者であり、ヒロくんの共犯者だった。

とは言え、ほとんどなにもしていない、名ばかりの存在だったけれど。

誰かが力添えをしなくても、二人はいずれこの未来を手に入れていただろう。

私がしたことと言えば、膠着状態に近い沙世とヒロくんの関係を、かき混ぜたくらいだ。



「とりあえず、場所変えよう」


ヒロくんのその言葉に席を立つ。

あまり他人に聞かせたい話ではない。

幸い、まだHRまでは十分な時間がある。


私たちは連れ立って教室を出て、階段を上がって誰もいない音楽室の前の廊下に来た。

そこにはなぜだかわからないけれど、ちょうど三つ、木の椅子があることをヒロくんが知っていたからだ。