「は、なんで、どうして? だってあたしまだ言ってないのに!」
「沙世、落ち着いて」
ヒロくんがなだめると、沙世はそちらを強く睨みつけた。
「ちょっとヒロ、あんたが言ったわけ!?」
「結論から言えばそうだけど」
飄々としたヒロくんの態度が癪に障ったらしく、沙世がさらに激昂する。
「なんであんたが言うのよ! 普通、あたしの友達にはあたしが言うでしょ。
亜美の他には誰に言ったの!? いつ教えたの!?」
こうしてみると、二人が付き合いはじめたと言っても、今までとなにも変わっていない気がする。
「だって俺の友達でもあるわけだし」
それに、と付け加えた。
「亜美ちゃんは、俺の共犯者だから」
ヒロくんのその発言は、沙世をたっぷり十秒は固まらせた。
それ以上見開いたら眼球がこぼれるのではないかと心配になるほど驚愕に満ちた表情で。


