夢みる蝶は遊飛する


翌日、私はスクールバッグに加えてお菓子を入れた紙袋を持って登校した。

すると、珍しく沙世が先に来ていた。

その隣にはヒロくんがいる。


「おはよう」


それだけ言って荷物を机に置くと、私は廊下へ出た。

なにか言いたげな沙世の視線を背中に感じながら。



マフラーを外し、コートを脱ぎ、それらをハンガーにかけてコート掛けに吊るす。


廊下は普段よりも賑やかだ。

早々に自信作を交換し合っている女子たちが、楽しそうに話している。

綺麗な包み紙の中には、努力の証が入っているのだろう。


それを見て、先ほどの沙世の物言いたげな顔を思い出す。

思わず笑みが漏れたけれど、どうにか真面目な表情を作って、教室に入った。


そしてまた沙世の元へ戻ると、彼女がなにか言う前に、私が口を開いた。