「よし、できた!」
ラッピングの、最後のリボンを結び終えたところで、私は伸びをした。
明日はバレンタイン。
ブラウニーとクッキーは、それぞれ最高の出来だと自負している。
水玉模様のビニール袋に、金色のリボンが結んであるものが、バスケ部の男子部員にあげるクッキー。
レースがプリントされた袋に、ピンク色のリボンのものが、クラスの女子と女子部員へのブラウニー。
今度は手加減してくるみを割り、香ばしい味と食感がちゃんと残っている。
クッキーは練習と同じく、とても美味しかった。
味見のはずが、もう一枚、とつい手を伸ばしてしまい、危うく数が足りなくなるところだった。
今の私は、美味しいクッキーとブラウニーで満たされ、身体は甘い香りに包まれている。
上手ではないけれど丁寧にラッピングした数十個もの袋を、大きめの紙袋に入れる。
そしてキッチンを出たすぐの廊下に置いておく。
さすがにこの数だと冷蔵庫には入らない。
けれど、暖房のない廊下は、それと変わりないと思うくらいに冷えていた。


