夢みる蝶は遊飛する


「そんなの、女の子らしいからに決まってるじゃん」


その言葉に、疑問を覚える。


「具体的に、どこが?」

「見た目も性格も話し方も仕草も、なにもかもが! あたしとは違うの!」


そう、沙世は言い切る。


いつも私はそのように見られるけれど、自分ではそんなふうに振る舞っているつもりはない。

私が思っている自分と、周りに認識されている高橋亜美という人間の間には、大きな差があるような気がする。


先入観の問題なのだろう。

けれど、それを作り出しているのが私なら、壊すのも私だ。

沙世の中での私の虚像を壊すのは今しかないだろう。



私は不敵に笑み、そして。

それを行動にうつした。




驚愕した沙世の顔は、いつまでも忘れないだろう。