「うちの子がいつもお世話になっています」


そう言って話しかけてきたのは、女子のキャプテンの舞の母親だった。

目もとが少し似ている。


「うちの子、部活中どうです? 家では本当になにもしない子で。キャプテンなんて務まっているのかしらっていつも思っているんです」

「いえ、いつも部員たちをまとめてくれて、頼りになるキャプテンです」


舞は人を見る力がとてもある。

誰よりも冷静に、部員たちを観察している。

自分も練習に参加しながら、それでも客観的に今の自分たちを見つめることのできる人間だ。

部員たちもそれがわかっているから、舞を信頼してついていっているのだ。


私がそう話すと、舞の母親は安堵したような笑みを浮かべた。