蝉が命の限り鳴く声が、私にあてがわれた部屋の窓から飛び込んでくる。 命はすべて、儚い。 どうして私は生きているのだろう。 胃に鉛でも詰め込んだかのように、気持ちが重く沈んでいく。 栗色のフローリングの床に座り込み、私はその木目を眺めていた。 どうして、私は。 どうして、私が。 このとき私は、これから始まる新しい生活に、ひとかけらの期待も抱いてはいなかった。