「将来のこととか、全然考えてないから。なにをしてる自分も、思い浮かばないの」
自分の中では、漠然とこういう選択をするだろうという予想はあるけれど、具体的なことはなにも決めていない。
私は未来に期待などしていないし、希望も持っていないのだから。
過去は私の身体に縛りつけられていて、どこへ行くにもなにをするにも、その重みがつきまとうのだ。
「亜美だったら、ちゃんと勉強すれば東大だって行けるんじゃないの? うちの高校で一桁の順位がとれるくらいだし」
そんなことがあるはずがない。
もしも万が一、こんなやる気のない私がその大学に合格してしまったら、他の受験者に対する冒涜となる。
人生を賭けたその勝負は、闘いぬく意志のある者だけが挑むべきだ。
苦笑して、首を横に振った。


