「沙世は、高校を卒業してからどうするの?」
先ほど林先生に受験勉強について言われたときから考えていた。
未来の自分は、どうしているのだろうと。
「卒業してからって・・・・そりゃあ大学行くでしょ」
就職者が数年に一人いるかいないかという程度である上に、専門学校や短期大学に進む生徒も稀にしかいないこの学校では、それが普通なのだろう。
国公立大学への進学希望者が大半を占めるような進学校だ。
当たり前と言えば当たり前だけれど。
「志望校は決まってる?」
「夏にオープンキャンパスに行ったし、一応決まってる。まあ、今のあたしの頭じゃ無理だけどね。
亜美は決まってるの?」
その問いに、私は首を振った。
沙世は、もう自分のゆく道について考えている。
それなのに、私は。


