たしかに愛されていたのに。

両親から、溢れんばかりの愛情を注がれていたのに。

それでも足りなかった。

もっと愛されたかった。

一緒にいても感じる寂しさを埋めてほしかった。

離れないで。

そばにいて。

その強すぎる想いがきっと私の、愛情と執着の境界線を曖昧にさせたのだ。


謝りたかった。

愛を貫き自ら命を断った母と、私と母を愛していたが故に離れることを決意した父に。

許されるはずもないけれど、謝りたかった。

その愛情を、ずっと疑っていたことを。


父、母、そして私たちは皆、自分は愛される資格はないのだと思い込んでいた。

そして自らの、愛す権利だけを大切に抱えて守っていたのだ。


いつからこの世界は、愛されることに資格を求めるようになったのだろう。

皆、愛されるべき人間なのに。


どうして私たちは、愛することに権利を必要とするようになったのだろう。

権利など無くても、人を愛することはできるのに。