「そうね、私から見たあなたは・・・とても大人びてる、高校生とは思えないくらい。取り乱して泣き喚かれるかもとは思ってたし、罵られても仕方がないとも思ってた。昨日の電話の後も、不安だらけだった。
でもあなたは受け入れようとしているわ、この状況を」


真っ直ぐ見つめられて居心地が悪くなり、斜め下に視線を逸らした。

心が麻痺していて、頭が思考を拒否している今の状態が本当の私とは言えないけれど、彼女は見たままの私について語ってくれた。


「そうですか」


次は、私の番だ。


「私は、母でない人が父の横に寄り添うのに・・・・嫌悪を感じていました。もちろんそんな気持ちは、今はありません」


嫌悪、という言葉に反応して眉を下げた彼女に、最後の言葉を付け足した。


「むしろ、感謝しています。父の支えになって下さっていたこと」


こんな状況下で、それでも控え目な作り笑いができる私は、不謹慎なのかもしれない。

そして自分の価値を落とさず、かつ彼女への感謝まで述べた私は、偽善者なのかもしれない。



それでも構わない。

誰も傷つけずにいられるならば。