学年末試験が終わり、近づいてくる冬休みを意識して、なんとなくクラス中が浮足立っているような気がする。

高校2年生の冬休みというのは、受験勉強に追われることなく、悠々自適に過ごすことができるのだ。

夏休みに比べて、課題も少ない。



けれど、彼女だけは違った。

そう、沙世だけは。


「なにが追試だ、ふっざけんなあぁぁ!!」


沙世は二学期の成績が思わしくなく、追試になってしまったのだ。

教科は数Ⅱ、数B、生物。


この学校の追試の基準は、中間と期末の試験の点数を足して60点未満の場合、である。

沙世の数学は数Ⅱ、Bの中間、期末考査のどちらをとっても見事に赤点、つまり平均点の半分以下だったのだ。

答案を見せてもらったけれど、どう頑張っても部分点さえつけられないような解答だった。

対して生物は、中間考査は40点だったのに期末で15点という悲惨な結果だったため、追試が決定してしまった。