まず、初仕事。
昨日洗剤やらスポンジやらを駆使して、極力水垢を落とした男女合わせて12本のボトルに水を入れていく。
やはりボトルからは異様な臭いがする。
今まで誰も腹痛を起こさなかったのは奇跡だとさえ思った。
明日、新しいものを購入しなければ。
その他の準備も終えて体育館に掛けてある大きな時計を見ると、3時50分。
練習前にシューティングをしていた桜井くんを捕まえて話しかける。
「一応準備はしたけど、何か足りなかったりしたら言ってね。水は私が見てるから気にしなくていいし、怪我したりテーピングが必要になったりしたら声かけて」
「はいよ~」
なんとも気の抜けた返事だったため、少し不安を覚えた。
けれど、その返事とともに放たれたミドルシュートが、綺麗な孤を描いてネットに吸い込まれたのを見て、その不安は打ち消された。


