その翌日、私はジャージを持って登校した。

今日から部活に参加するのだ。



放課後になり、部室へと向かう。

そこでは数人が着替えている最中だった。


声を掛けてから、隅に荷物を置いてジャージを取り出す。

皇ヶ丘では部活動の際、学校指定のものか部活で揃えたジャージしか許可されていなかった。

けれどこの学校は違う。

自由で気楽だと思った。

伝統と格式がありプライドの高い皇ヶ丘学園では、もはや化石と呼んでもいいような古くさい規律が根づいたままなのだ。



私が今日着るのは、高等部のチームで揃えて購入したジャージ。

黒地でサイドに太めの紅いラインが入っている。

背部の上の方に“AMI”とラインと同色で名前が入れてあり、その下には皇ヶ丘バスケ部のマークが真紅に金の縁取りで配置されている。


これは私が一番気に入っていたものだった。

捨てることはできなくて、でも着ることも躊躇われて、ここ三ヶ月ずっとしまいこんでいた。


久し振りに袖を通すと、ざらりとしたジャージ特有の肌ざわり。

その感触に気分がすっと落ち着き、私の周りにいつも漂う淀んだ空気が少し浄化されていく気がした。