夢見たものは



ガタンゴトン・・・ガタンゴトン・・・



私たちは電車でおばあちゃんの家に向かった。
最寄りの駅から14駅過ぎたところにおばあちゃんの家はある。


私はずっと窓の外を見ていた。

お母さんは私の様子を窺うように見ている。




「ちゃんとクラスの皆さんに挨拶できたの?」

「んー」

「随分早かった気がしたけど、お友達の子とはきちんとさよなら出来たの?」

「んー」

「…ごめんね、辛かったよね。」

「んー…ん?いや、お母さん泣かないでよ。私転校すること後悔してないよ。」

「でも…、お友達と別れるの辛いでしょ?」

「私さ、杏奈と離れることになっちゃったけど、お父さんとお母さんが別れたこと正しいって思ってる。」

「陽菜…、でもあなたたちのお父さんよ?」

「うん。あの人はお父さんだった。けれど、単身赴任してたせいかな?小さい頃の思い出だけで終われたんだよね。お母さんは辛かったと思う。でも、お父さんも寂しかったんだよね。」

「陽菜・・・」

「私ね、杏奈を早く引き取って欲しい。私、できるだけ自立するようにする。杏奈だけこんなに会ってないお父さんと、知らない人と暮らすなんて可哀想だと思う。」

「でも…親権は半分半分なのよ。」

「・・・・そっか。でも私、お母さんにあまり迷惑かけないようにするからね。お母さん自由に伸び伸びすると良いよ。」

「陽菜・・・、お母さんあなたのこと迷惑だなんて思ったことないわ。」

「でも・・・。」

「あなたも杏奈も大事な娘に変わりはないの。だから、2人で頑張っていきましょ?」

「うん・・・。」





思わず涙がこぼれたけど、お母さんに見つからないようにそっと拭いた。






窓の外の風景はどんどん街から離れていっていた。