秋晴れの日の昼休み、腰丈まである漆黒のストレートロングを風になびかせながら久遠 萌黄【くおん もえぎ】は屋上で寝ていた…といっても日影だが…。
そんな優雅な時間を過ごしていた彼女はある気配を感じ、眼鏡越しの髪同様の漆黒の瞳を開いた。
「…何かが…起きた…」
呟きは風にかき消され、萌黄は再び瞳を閉じる。だが、今度は眠る為ではなく、何かを感じ取るような感じで…。
萌黄の周りには風が吹き荒れて、漆黒の髪とともに何処からか紛れ込んだ桜の花びらが舞っていた。
その花びらをつかみ取るり、立ち上がる萌黄は裏庭の桜の木を見つめた。
「…もう、そんな季節になるんだな…」
見つめる瞳はどこか寂しげで悲しげだった。
そして、その瞳は何かを捕らえた。
桜の木の隣で少女が萌黄を見上げている。
「いったい何が起きたんだ?」
 その問いに少女は悲しげな顔で口元を動かした。

-何かが…誰かが…惨劇を繰り返す…―

少女はそれだけ呟き、姿を消した。
萌黄もまた、眠る為に瞳を閉じた…。







その時の二人の会話の意味は一週間後わかることとなる………。