届かない、スキ

すると優太はいきなり立ち上がって、公園の隅で遊んでいる小学生に、もらったバレンタインのチョコを配った。



「優太ッ!それ…あげちゃっていいのっ?」


優太の意外な行動に我慢していた涙がピタッと止った。



「いいのいーの♪どうせ全部本命じゃないしっ。」


いや…ぜーんぶ本命だと思うけど…。



あたしがそんなことを考えている間に優太は全部配り終えて、小学生達は行ってしまった。



「ほら、消えたっ♪」



さっきの“消える”ってこのことだったんだ…。



「ん…?」


あたしは優太のスクバに入っているチョコを見つけた。




「あれは、いいの?」



「あー、忘れてた〜…

なーんて。

ほんとは今日、海里にこれ渡す為に呼んだんだ。」


「あたしに…チョコ?」


いまいち状況が掴めないあたしは首を傾げた。