恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~


「う~ん、本人の携帯に連絡してみたんだけど繋がらなくってさ」




「さっきチェックアウトしたばかりなんですよね!?」


同僚に詰め寄り早口になる。




その瞬間居ても立ってもいられなくなり体が勝手に動いた。


「先生」のギターを腕に抱え走り出していた。




どうか間に合ってっ!!




無我夢中でホテルを出て走った。



小島さんを置いてきたのも忘れて考える事は

「先生」の事だけだった。



考えられるあらゆる場所は走ってみた。


こんなに走ったのは何年振りだろう。

息が切れて呼吸をするのが苦しい。



それでも走ってみたが「先生」の姿はもうなかった。