「ムカツクヤツが居たのよー!!」

拳を握り机をドンドンと叩く私に、教室にいる生徒の視線が集まる。

「落ち着いて落ち着いて」

両手を顔の前でパタパタと振り、私を宥めようとする瑠璃は少し困り顔だった。

怒りのあまり「キー!!」と奇声を発する私とは反対に、瑠璃は落ち着いた声を出す。

「それって、この学校の生徒だったんだよね?」

先程の出来事を鼻息荒く、喚くように説明した私に、瑠璃は「うーん」と首を傾げた。

「そうだよ。同じ制服だったもん。でもあんなヤツ見たことない!」

「どんな感じの人だった?身長とか顔つきとか」

「………」

「男前じゃなかった?」

「うーん」と考える私に、瑠璃はまるでヤツの事を知ってるかのように言葉を続ける。