「お前なんだその間抜け顔ー!
 超ウケんだけど!!」


あいつはあたしを指差して
笑ってる。



「おいこら笑ってんじゃねーぞ」

「あ?帰ろうぜ!」

そう言って手を握ってきた。



「はっ?は、おい!なんだよお前!」

頭ん中パニック状態。



「帰るっつってんだよー」

ニカって笑うあいつ。



「どこに帰るんだよ!?」

「マンションだよ」

「は?」

「お前と兄貴が住んでるとこ」

.....。
でかい声で言うな。


ごらんなさい。

女子らが悲鳴を上げてると同時に、
あたくしを厳しく睨んでますの。


てめー覚えてろよ...。




「矢口栖羽」


タクシーの中。

マンションに向かってる。


つーか、
フルネームかよ。


「あん?何だよ」

「俺の名前知ってるか?」

さっきぎゃーぎゃーわめいてたから
覚えたくなくても覚えてしまったよ