だから...私はゆっくりと靴を脱ぎ、フェンスを越えた。

下を見ればそこは恐怖の底。


この時、私に死ぬ勇気があれば、望に会えたのかな?



お母さんにも、奈々にも会えたのかな?


私は死にきれず、ビルから降りた。


どんだけ自分が弱い人間なのか...


望の変わりに私が死ねばよかった。


望のお母さんから電話が何度もきたけど、でなかった。


でれなかった。


火葬場にも、お葬式にも行かなかったから。


だって、行けば望の死を認めた事になるから。


私は認めたくない。



望...ごめんね。


こんな私で...


望がいないこの世の中で生きていく自信が私にはない...


だから私は毎日、奈々が飛び下りたらビルの屋上へ行った。


死ぬために。


望に会うために...


でも、いつも無理だった。


臆病な私には...


学校へ行くと、望はいない。


だから、学校も行かなかった。

あとは卒業だけだから...


誕生日も過ぎた。



望と一緒にいたかった。


一緒に祝ってほしかった。