奇跡をあなたに



「...市川くんはここにいるのよ。」


「――――ッ!?」


嘘ッ


なんで?


「幸さん大丈夫?」


「...はぃ。」


私は先生に連れられ病院の中に入った。

進んだその先には、個室があった。



ドク ドク ドク


『市川 望様』


望の部屋だ。


望はここにいる。



私は震えていた。


奈々もこの病院が最後だった。


考えたくないけど、あの時の気持ちがよみがえる。


辛くて。


苦しくて。


私が立ち止まっていると....



「幸さん?私は駐車場で待ってるから...」


「えッ?」


「あなたが知りたかった事は今目の前にあるの。ちゃんと向き合いなさい。」


「.....はぃ。」



そう言って先生はいなくなった。



.....どうしょ。


怖いよ。


ドア開けられない。


私はドアの前で立ち尽くしていた。


開けたら...何を見てしまうのか...



だから開けられない。