「....わりぃ。俺彼女とかいらね―から!」


「付き合って見るだけでもいんで!!」


後輩は一生懸命、望に気持ちを伝えていた。


「それは駄目だろ?大切にしてくれる奴と付き合いな。」


望はその子の頭を撫でた。


後輩はそんな望をきっともっと好きになったんだと思う。


「ありがとなッ」


望はそう言って後輩に笑いかけた。


後輩の顔は今にも泣きそうで、男だったらきっとほっとけないほど可愛かった。

「幸、帰るぞ!」


「あっうん。」


私は望の呼びかけにその場を離れた。


「ねぇ―望?」


「ん?」


「あの子泣きそうだったよ?」


「そっか...」


「...うん。」


望は何人の子に告白されても、けして自慢気にならない、逆に悲しそうな顔をする。


その時思った、望は何か抱えてるんじゃないかなって...


でも、聞けなかった。


聞いたらいけないような気がしたから...