もう一度、カオルの前に手を出してみる。



「あたし達、学級委員でも何でもないからよくわかんないんだけど。

要に、カオル君と友達になりたいだけなんだよね。2人とも」





その時、初めて見たんだ。
カオルの瞳を。

漆黒の闇みたいな瞳じゃなく

本物のカオルの瞳を。








「……っバッカじゃねーの」


差し伸べた手は握ってはくれなかったけど
そんなことどうだってよかった。


だって……


「「笑った……」」


顔をそらして、しかも密かにで見えにくかったけど。それでも確かに笑った。



カオルが笑ってくれた。