「何2人とも意地はってんだよ!カオルも何バカなこと言ってんだ」 感情的になっているリュウヤとは逆に、カオルはゆっくりと静かにこっちを向いて呟いた。 「なかったことにしたのはお前だろ」 とても、とても冷たい瞳。 最初にカオルを見た時と、同じ瞳。 カオルの瞳をそんな風にさせてしまった自分が許せない。 もう許されることなんてない。 “なかったこと”にしたのはあたしなんだから。 あたし自身なんだから。 教室を出て行くカオルを止めることは もうあたしには出来ない。