「たまにはハクと一緒に散歩でもいかない?」

あたしがアキにそう言ったのは、単なる思いつきだった。


今、あたしは左手にハクのリードを持って、右手はアキの大きさ手のひらに包まれている。

アキは時折道に咲いている小さな花を見て笑ったり、流れる雲を指差して「くじらみたい!」とはしゃいでいた。


あたしはというと、当たり前のように流れる時間はあたしにとっては特別で、アキはどうなんだろうな、なんて考えてみたりしていた。


「ねえ、アキ?」

「なに?」


「あたしの右手、アキにあげるよ。だから、」