ジリジリと地面を照りつける太陽の下、グラウンドには応援の声が響き渡っている。




最終回の裏、2アウト満塁。
その上バッターは、4番の田宮龍我。

アキの肩が息で弾んでいるのは、ベンチの中にいるあたしでもすぐにわかった。


この回を1点も許すことが無く試合が終われば、あたしたちの学校は優勝することが出来る。そのためには、エースナンバーを背負うアキの球が必要だった。


左足を胸の近くまで上げ、思いっきり腕を振り下ろす彼のフォーム。

白球はミットに収まらず、ピッチャーのもとへまっすぐ戻っていくように見えた。




「アキぃ!!!!」


流れるように雲は巡った。
青い空の下、記憶に残っているのはあの言葉と倒れこむアキの影。


――あの日、アキは一本の光を失った。