思いついた。 この屋敷を買って落ち着いてくれたなら、オレはお役目御免になるんじゃないか? もしかして。 ミヨちゃんは笑顔のまま、積まれている石の溝を指でたどり出した。 どんな基準で考えているのかはわからんが、おぉ気に入れ、気に入ってくれ。 何か聞かれたら、褒めちぎってその気にさせよう。今のご満悦な気分の維持を目指そうじゃないの。 笑顔は消えない。手は壁を伝い進み、三分の一ほどはみ出した白い石を掴むとそれを、ぐっと引き出し――……