季刊『お屋敷ハンター』

あの日あの時あの場所でキミに逢わなかったら……と、オレがこの身の不運を嘆いて当然。

窓の向こうに飛び去る風景に向けて幽愁の息をついたオレの形の良い額を、運転席から伸びた手は叩(はた)いた。


「ちょっとしっかりしてよね。苦労して手に入れたアンタが役立たずだなんてそんなんナシだからね。じょーだんじゃないわ」


イタイじゃないか。
自分の手のひらでさすりさすり、思うことと言えば、そうか、手に入れられていたのか、などと。

さしずめオレは略奪された姫君だな。はっはっは。


「返事はどーしたー?」

そしてアンタは親方か。