「マツイという女性から手紙が届いていてね、汐崎くん」 「はぁ」 デスクに座った部長から、オレは突っ立たされたままそれを受け取る。 前回の話し合い(嘆願ではない)から一週間が過ぎており、申請(お願いではない)授与の通達を受け取りに来たつもりのオレである。 マツイ、て誰だ? センターのお偉方にそんな名前があっただろうか。もちろん覚えているわけでもないので、思い当たりもしないのだけど。