無意識って怖い。 「キスしたい」 なんて思ってなかったのに気がつけば瑠璃の顔が目の前にあって。 ――唇を塞いでしまっていた。 「…んん゛っ」 一瞬、瑠璃が苦しそうに顔を歪めたから慌てて唇を離す。 幸い、この電車には人はほとんどいなく隅の方におばあさんがひとりで座っているだけだった。 「ふぁぁっ…」 あくびの音が聞こえたと思ったら肩に寄りかかっていた瑠璃がむくりと起きる。 ―プシュー ちょうどいいタイミングで開いた電車の扉。