「頑張って来るのよ」
ドアが閉じられる瞬間に耳に届く言葉。
「そんなに、頼りない?」
苦笑を漏らしながら、ちゃんと自分の気持ちを瑠璃に伝えることを決心した。
ドクン、ドクン…――
瑠璃の家に来ちゃった訳だけど、今瑠璃の部屋の前に立ってる訳だけど。
おばさんもちょっと心配してた。
泣いてはいなかったんだけど、目を真っ赤にしながら帰ってきたから。
でも、私が首を突っ込む問題じゃないわね。
…瑠璃は部屋にいると思うから、上がって。
瑠璃似ですごく美人なお母さん。
どこか儚げで、でも芯がしっかりある人だと感じた。
そう言われて、ここまで来ちゃったけど。
――どうしよう。
部屋、入っていいのかな。
ここまで来てオロオロするなんて情けないな。
とりあえず、部屋には入らないでドア越しに話しかける事にした。

