どのくらいそうしていただろう。
階段で軽く放心状態のままうなだれている僕にお母さんが声を掛けた。
「凜久…、行ってあげなさい。瑠璃ちゃんのお家に。ほら、あれを持って」
…いつになく、真剣な表情のお母さん。
「…――行ってくるよ」
ピンク色の包み紙で包まれたあのくまのキーホルダーを瑠璃のバックへと突っ込む。
星のタオルはちゃんと瑠璃から受け取ろう。
そう思い、僕は家へ飛び出した。
ハニーハウスの前を通りかかった時に、窓から見えたおばさんが手招きをしているので、吸い寄せられるようにドアを開ける。
「…おばさんっ」
焦りを全面に出している僕をなだめるように、優しく声をかけてくれた。

