とりあえずその日は何事もなく終わ…――― 「凜久センパーイ!」 …―――らなかった…。 「良かった…」 ヨウは用事があって先に帰ったみたいだから。 放課後、僕はいつものように先生に雑用を頼まれ少し遅くなってしまった。 「一緒に帰りませんか?」 ――屋上で会った時は瑠璃と重ねちゃったけど、今は全然そう思えない。 それは多分僕が―― 何も知らなかったから。 「嫌って言ったら?」 返ってくる言葉は想像出来る。