年上カノジョに蜜な罠



「私、諦めませんから…」


瑠奈ちゃんのあの言葉を聞いてからもう結構経つんだけど―――…


移動教室の時とか廊下ですれ違う時に軽く挨拶を交わされるくらいで、特になにもしてくる事はなかった。



「シカトすりゃいいのに」


隣から降ってくるヨウの声は"聞こえる"よりも"降ってくる"方が正しい。


瑠璃と並んで歩く時とは比べものにならないくらい、見上げなければならないのだ。


ヨウはそれだけ背が高い。



「…や、それはさすがに…ね」


挨拶まで無視しちゃったらいくらなんでも…。


おはようございますって言われておはようって返してるだけ。


――…そっけなくね。