「鈴様!!」

黒木さんが騒ぎに駆けつけて私の肩をしっかりと握りしめた


そして
私をかばうように報道陣の前に立つ


「お話しすることは何もございません。どうぞ、ご近所様の迷惑になりますので、お引き取りください。」


私は黒木さんに促されて
門を離れる


「待ってください!
萩乃宮コーポレーションの株価が大暴落して、数億円の損失が見込まれますが…」


「聞く必要などありません。さ、屋敷の中へ。」


記者の質問を遮って
黒木さんが足早に私の手を引いて歩き出した



でも


その記者の言葉は
私の中に小さく引っ掛かる

“株価の大暴落”


“数億円の損失”



株式市場なんてわからない


だけど

大和さんの会社にとって
悪いって事…―?