続・幸せの契約

クスクス
「はい。少し確認したいことがありまして。
ですから、明日はご持参くださいね?」


「はあ。」


半信半疑のまま
私はパスポートを準備することにした


コンコン
「失礼いたします。
鈴様、ご入浴のお時間ですが、いかがなさいますか?」


いつもの時間
ドアの向こうから由香ちゃんの声


ちらっと大和さんを見る


どうしよう


まだ大和さんと一緒にいたい



でも
明日は1限から講義あって朝早いし…


悩んでいると
大和さんが口を開いた


「田中。先にバスルームの準備をしておいてくれ。
すぐに向かうから。」

え!?

「かしこまりました。」



遠退く足音

なんで大和さんが返事をしたの?


不思議そうに見つめる私に大和さんはふっと微笑んだ


「たまには一緒に入りましょうか?」

へ?

「えぇっ!?」



思わず立ち上がって後ずさった

一緒に…
一緒にお風呂って…


全身から熱が放出される


「ぷっ。茹で蛸ですね。」


笑う大和さん


「だって、そんな…!
いきなり一緒にお風呂なんて…!」



あわてふためく
私にずぃっと大和さんの顔が近づいた



長いまつげと切れ長の瞳
整った顔立ち

思わず息を飲んでしまう


「いきなりでなければ、いいんですか?」



鼻と鼻が触れそう



やばいよっ!!



この状況に
先に耐えきれなくなったのは私…



「私!先に…入ってきます!!」



バタバタと逃げるように部屋を後にした


大和さんが悪戯に微笑んで「残念。」


なんて言ったことすら気づかずに…