屋敷に戻っても
気分は晴れなくて


中庭に出た


季節の花や木々がキチンと手入れされていて


真ん中には巨大な噴水が
夕日を浴びて

オレンジ色の水を吹き上げていた


木製のベンチに腰を下ろす

はぁ…



背中の烙印が淡く疼く



私の背中に無数に刻まれた
孤独の烙印



もう
孤独じゃない


私には
由香ちゃんや番場さん、黒木さん


そして

大和さんがいる





だけど


その烙印は消えてくれない

そして
地獄のような暗闇を
今でも私に思い出させる



はぁ…



二度目のため息


「鈴様!?」


しゃがれた懐かしい声が私を読んだ



そこにはコック帽を片手にタバコを吸う番場さんが立っていた


「番場さん。」



「こんなところで、そんな暗い顔してると
せっかくのディナーも不味くなっちまいますよ。」


相変わらず
豪快な笑い方


つられて私まで笑ってしまう