続・幸せの契約

「…
鈴さんが好きになったのは犬居でしたね。

今の私は…
萩乃宮大和では…あなたをそんな風に声を殺して泣かせてしまう。」



止めどなく流れる涙


必死で堪えても
拭っても


止められない
心の声


「鈴さんを誰よりも幸せにしたい。
そう強く思うのに…私はあなたを泣かせてしまいす。
恋人…失格だ。」



喰い縛るように言って

大和さんは拳を強く握りしめた



「…大和さんが仕事が大切なのはわかります。萩乃宮コーポレーションの新社長として、次期当主として、やるべき事がたくさんあって…

解ってるんです。


解ってる…


だけどっ…

この生活になってから
どんどん、どんどん大和さんが遠くなっていく気がして


一人の時間が増えれば
増えるほど

いつも傍にいてくれた犬居さんが恋しくなって
寂しくなって…

わがままだってわかってるけど…

もっと
少しだけでいいから…


一緒に居たい…ー。」



言い終わるよりも早く大和さんが私を抱き締めた


優しい温もり
懐かしい匂い

私の大好きな腕の中…

ゆっくりと大和さんの背中に手を伸ばす


そして
力一杯
握りしめた


「傍に…居てください…。」