続・幸せの契約

「別に…
私だってこういう服着たりします。」


「…そうですね。」



沈黙が部屋を満たす


大和さんは目を伏せたまま

私は膝を見つめたまま



その時
大和さんがゆっくりアルバムを手に取った


「鈴さんはあの頃が懐かしいですか?」



「…。」


私は何も言えなかった


「…あの頃に戻りたい?」


その言葉に
鼻の奥が詰まって
目に涙が溜まる


「…。」
何も言えない私


何を言えばいいの?

きっと
今口を開いたら、大和さんを困らせる言葉しか出ない


「鈴さんは…犬居が好きですか?」



ゆっくり
大和さんを見上げる


その顔には悲しいような
胸を締め付ける
笑顔があった