「ここにあるじゃないですか!」


一際大きな大和さんの声が店内に響いた



「…私は…貴女がいないとダメなんです。

後ろ楯や権力なんて無くても会社は経営できます。

だけど
鈴さんが居ないと私は動けない。自分でもどうしようもないくらい、情けなくなるくらい…私には貴女が…
鈴さんが必要なんです。」


私が…必要…?


何の権力も財力も無い…私が…?


「でも…私には…。」



「貴女は私にとって、存在自体に価値がある!

どうか、朝目覚めたら“おはよう”と言ってください。帰宅したら“おかえり”と言ってください。

毎日毎日、私の傍で笑って下さいっ…!

それだけで…
それだけで私は…強くなれる。」



一筋の涙が大和さんの頬をつたった


「私なんかで…いいんですか…?」



何も持ってない

魔法が解けた
ただの灰かぶり


そんな
私でも…必要だと言ってくれますか?



「貴女じゃなきゃダメなんです。他の誰でもない…鈴じゃなきゃだめなんだ。」


泣き顔の大和さんは
苦しそうに顔を歪めて私に言った



その瞬間



私は大和さんに抱き付いて大声で泣いた



押さえていた蓋が外れていく…



溢れだした想いが
私の世界に色を戻す…