本当に、賢い人間っていうのは、どこまでも賢い。
俺の言いたい事を余す事なく汲んでくれる所は、
やはりどんな時であろうと、感心してしまう。










「あぁ、その通りだ。
 早速、明日からでも取りかかろうか。
 裏工作はお任せするぜ、……理事長の息子さん?」



「ふふ、隼人が良いなら、盛大に宣伝するよ。
 『能力を見つけ出せていない方に、朗報!
  天才占い師が、貴方の運命を占います。
  3日限り、放課後自由棟A室にてお待ちしています。
  皆さん、この機会に、是非お越しください!』
 …………って感じで、どう?」



「くくっ、方法はお前に任せるよ。
 ……それにしても、今日は、見たくもない嫌なカードを
 見てしまったから、やけに疲れた。
 もう、夜も更ける頃だし、そろそろ寝るよ。」
































そう言って、俺は、瞼を閉じた。
明日からが、本番だ。
背中にそっと触れ合う恵の体温を感じながら、
俺は、眠りについた。
これが、俺が恵を好むもう1つの理由。
上辺だけじゃなくて、ちゃんと俺を見てくれているから、
俺が、実は孤独をあまり好まない事を知っている。
いつもは、強がっているだけで、本当は、心の中では寂しいと
思っている。
それを察してか、時々こうして遊びにきては、
俺が眠りにつくまで傍にいてくれる。
恵は、ただ単に鋭いだけじゃない。
彼は、俺が望む優しさを持っているから。