~??side~





「結界の様子は?」



「はっ、あと2日もあれば破られるかと存じます。」



「ふうん、そっか。
 ……楽しみだね、アリス…………。」



「アリス様、ですか。
 確か、貴方様の兄上の……?」



「そうだよ。
 彼の願いは、僕が叶えてあげる。
 いや、僕にしか叶えられない。
 だって、…………同じ痛みを背負う者、だからね。」



「先代から話は聞いております。
 ……さぞかし、哀しい宿命でしょう。」



「クスクス、……そうだね。
 でも、その流れをここで断ち切ってみせる。
 この世界を闇色に染めるまでは、僕の使命は終わらない。
 それが、僕達、闇薔薇の生きる道。」





























胸元に咲く漆黒の薔薇を、そっと撫でる。
それは、まるで、自身の価値を、立ち位置を確かめるかのように。
これが、闇薔薇である証だから。
運命に囚われた者の哀れな行く末を暗示する、印。
僕達には、最初から闇しかなかった。
これくらいしないと、僕達は生きていけないのだから。
何も知らない奴には、分かってほしくもない。
この痛みは、この悲しみは、このやりきれない思いは、
唯一アリス兄さんと共有できたものだから。